統合失調症のケアマネジャー

人生の大半をメンタルヘルスに費やしてきた男性の経験談

統合失調症を抱えながら起業のメンバーになる5。

こんにちは。pepeneeです。前回で新しく起業した放デイ施設に初めてご契約いただいたMちゃんのお母さんとの最初の面談の内容を詳しく書いていきました。今日はこのアセスメント(児童の課題抽出)を個別支援計画にする過程で展開するケアマネジメントの基本についてお話ししたいと思います。

 

ケアマネジメントとは、様々な解釈がありますが、僕が現場で実際に体感した一番しっくりくる説明は、”利用者様の生活をよりよくするための改善計画の実行”という事がいえると思います。ケアマネジメントを理解するには、まずPDCAサイクルを理解する必要があります。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。よく、製造業の品質管理などに応用されている基本的な考え方ですよね。それを利用者様の人生にあてはめたものがケアマネジメントです。

 

PDCAサイクルとは、このサイクルに沿っていけば、製品であれば品質改善、顧客満足アップ。ケアマネジメントであれば、利用者様の生活の良好度アップとなります。今回は前回のMちゃんの事例で解説していきます。

 

①P (PLAN)

まず、現在のMちゃんの現状困っている状態は何かをアセスメントという初回面談であぶりだしていきます。Mちゃんの課題は、読み書きが同年代の児童に比べて、発達が遅いという点でした。さらにお母さんがそのことについて焦りや不安を感じてしまい、Mちゃんに声を荒げてしまう、という二つ目の問題が出てきているという点でした。

この二つの課題に対してどううちの放デイは対応していけばいいのか、プランを立てていきます。

ニーズ①読み書きが出来るようになってほしい。

ニーズ②保護者様の話し相手になれる様、安心した放デイであって欲しい。

ニーズ①の目標。学校から帰ってきたら、おやつやボール遊びなど、本人の楽しい事の前に一文字でもいいから読み書きの練習をする。出来ない事に目を向けるのではなく、出来ることに意識を集中し、達成感を持ってもらう。

ニーズ②の目標。連絡帳等を通し、今日のMちゃんの出来たこと、楽しめた事をその都度保護者様に報告し、自宅に送迎時は、お母さんの不安感を軽減する様、顔を見ながら相談に乗る。

 

これらの問題点(ニーズ)に対して、目標を立てて、この目標を6か月単位で達成するのか、1年単位で達成するのかをしっかり吟味し、これを計画書(個別支援計画書)に反映して保護者様にわかりやすくお伝えし、計画書に署名、印鑑を頂いて、契約開始になります。

 

②D (DO)

二つ目はDOつまり、実行です。実際に立てた個別支援計画書を現場で実行する訳です。まず、実際に読み書きの療育に当たる保育士さん等全員に計画の内容をミーティングで伝えます。Mちゃんの潜在能力と、実際の現在の読み書きの能力をしっかり把握して、出来る範囲で、本人に負担になりすぎないように読み書きの療育を促していきます。もちろん、楽しみながら読み書きが出来る様になれば一番良いのですが、お預かりしている時間も限られており、多少の詰め込みは必要かもしれないことも話し合います。実際には、この保育士さんの療育が非常に上手く機能し、Mちゃんはひらがなは通いだしてから半年でかなり読み書き出来る様になりました。また、その目覚ましい効果を目の当たりにしたお母さんは、とても喜び、家庭でのMちゃんに対する接し方も穏やかで優しくなった様子でした。

 

③C (CHECK)

三つ目はCHECKつまり、PLANどうりにDO(実行)出来たか、モニタリングという保護者様との面談を半年に一回のペースで開催し、CHECK(評価)します。今回のMちゃんの読み書きが出来てほしいことのニーズに対し、半年の放デイ利用でおやつやボール遊びの前に個別の読み書き指導を行ったことで目覚ましい効果が出たことを確認し合いました。この半年の間で、かなりのひらがなの読み書きが出来るようになってきたこと。そして、そのことで、二つ目のニーズ、放デイを安心して利用でき、お母さんの不安解消の話し相手になれた事。これも実行できたことを確認し合います。

 

④A (ACT)

四つ目はACTつまりさらにMちゃんやそのご家族の生活をより幸せなものにする為、最初に立てたPLAN(個別支援計画書)を改善していきます。最初のニーズ①を、今度はひらがなだけではなく、カタカナ、漢字も読み書き出来るように変更したり、ニーズ②はさらにご家庭と放デイの信頼関係を強めていく為、お母さんが感じた不安や思ったことを安心して言える環境づくりに努めていく。例えば、お母さんが気軽に立ち寄れる放デイにする、といった感じです。そうして、最初に作ったPLANをさらにアップデートして現在のMちゃんの生活改善に即したPLANに改造していく作業を保護者様を交えて行います。

 

⑤またP (PLAN)にもどる。

こうして、PDCAを一周して、また、最初のPLAN作成にもどります。最後のACTで出された目標を達成できたことは排除し、またさらなるニーズに対してはそのニーズに対して出された案を新たな目標に設定していきます。そして、DO、CHECK、・・・とまた改善の輪をずっと繰り返していく訳です。

 

このPDCAサイクルを回していく作業、これがケアマネジメントの本質である訳です。

 

このブログでは、精神疾患等に罹った方が幸せに生きていくヒントを書いています。これからもどうぞよろしくお願いします。