統合失調症のケアマネジャー

人生の大半をメンタルヘルスに費やしてきた男性の経験談

統合失調症で仕事に困る乖離と認知機能障害。

こんにちは。pepeneeです。今日は、統合失調症が社会に出て、何に一番苦しんでいるのか、を僕の経験でお話ししていきたいと思います。

 

その①

陽性症状。とにかく、社会に出るのも何も幻覚、幻聴が酷い時期。統合失調症に罹って自分に合う抗精神病薬を見つけるまではまず脳が過剰に脳内物質(ドーパミン等。)を大量に出し、脳がオーバーヒートするまでひたすら現実世界の認識から間違っている世界を本人に見せ続けます。この段階では、仕事どころではないので、とにかく睡眠薬抗精神病薬を定期的に服用して、脳のオーバーヒートを癒すために寝て、寝て、寝たおすことになります。

 

その②

陰性症状。その①でオーバーヒートした後に襲ってくるのがこの陰性症状です。とにかくなにもやる気がわかない。それはそうです。オーバーヒートした脳がやる気を出すにはさらなる脳の休息が必要になってくるからです。この時期では、周囲からあまりにだらしなく見えてしまうので、周囲が良かれと思ってやる気を促すと逆効果になることがよくあります。統合失調症の当事者からすると、とにかく前に踏み出したくて仕方ないのですが、心や体が気持ちについてこず、焦りばかりが募っていく時期だといえそうです。自分で自分を鼓舞し、無理してアルバイトを自分で探し実行してみても、短期に辞めてしまい、その失敗体験からまた家に引きこもるようになることも往々にしてあります。規則正しく生活する、家事を手伝う、など簡単なことから取り組むことがベストです。それでも、出来ないことがあるので、出来ない様子なら、じっくり休養期間を取ることをお勧めします。

 

その③

認知機能障害。統合失調症の当事者は脳の機能が衰えています。その①で起きたオーバーヒートの副作用だと思われます。同時に二つのことを他者から言われても、頭の中に情報を保持する機能が弱まっており、(ワーキングメモリーの低下。)一個一個の記憶をとどめておく程度しか出来ないケースも多いです。品物の数が3つの買い物、お使いなども、メモなしでは難しいでしょう。また、人との会話でも、その場の臨機応変な会話の選択、発言なども難しく、健常者では普通の会話の情報処理がうまくできない事が多いです。記憶力はもちろん、幻覚の後遺症もあるため、思考もまとまらず、思考力が衰えていると外部からは認識されることも多いでしょう。

 

その④

乖離。これは、僕のケースで多かったので、お話ししておこうと思います。人間の脳はその個体が生きていくのに不利な記憶や、精神衛生上思い出すと脳に負荷がかかりすぎると判断した記憶を顕在意識に上らせず、潜在意識に押し込めて忘れたこと、無かったことにしようとする機能があります。僕の場合では、幼少期の父親からの暴力のシーンや、中学時代のいじめの記憶などが代表的に上げられました。しかし、幼少期から暴力や言葉の罵声が日常だったため、ほとんど記憶にないといった方が正確でした。(今もほとんど記憶喪失です。)統合失調症の場合、この度重なる過度な本人の辛い記憶がある一定量を上回ると(まるで水がコップからあふれ出るように。)引き金になって発症に至ると僕は解釈しています。脳の防衛機能は無限ではなく、限界があるのです。そこで、児童虐待にあっている時、脳は何が起こっているか。それは、あまりに残酷すぎる目の前の現実をシャットアウトして乖離、すなわち想像や自分の世界に逃避して意識をそらしているのです。そのため、昔から僕は体の動かし方がぶきっちょで、現実世界を生きるのにとても苦労していました。ほとんどの時間を空想、妄想の中で生きていたのですから当然かもしれません。しかし、乖離からくる現実との切断という生存本能の戦略は、その後に訪れる社会での生存競争に不利に働きます。まず、少し強めに言われた言葉を虐待と脳は判断し、本来しっかり把握しなくてはならない仕事の手順だったりを頭の中に入れることが難しくなってしまっているのです。その乖離は集団生活を営むのにも不利に働きます。集団では現実把握が正確にでき、次にどの手を打って行動を決めていくかを考えることが得意な人がリーダーになりやすく、僕のような随時現実逃避している人間は、他の集団員からも下に見られてしまいます。とても生きていきづらい訳です。

 

統合失調症に罹った方、精神疾患等に罹った方は家庭や社会でのストレスや軋轢を必要以上に受け続けて限界を超えてしまった方が多いです。僕はそんな自分自身に似た辛くきつい経験をした方に、本当に尊敬の念を持ちます。自分を犠牲にし、他者を優先しないと生きれなかった過去。ゆっくりでもいい。ただ、立ち上がるのを諦めてほしくない。その思いでこのブログを書いています。これら4つの統合失調症等のデメリットをみてきましたが、適切な服薬、リハビリ、有効なトレーニングによって日常生活や就労に必要な脳機能は回復、あるいは大幅に発達することがありますので、まずは安心してください。

 

このブログは精神疾患等に罹った方が幸せに生きるヒントを書いています。今後ともどうぞよろしくお願いします。