統合失調症のケアマネジャー

人生の大半をメンタルヘルスに費やしてきた男性の経験談

映画「ビューティフルマインド」を鑑賞して。

こんにちは。pepeneeです。今日は、2001年公開の映画、「ビューティフルマインド」を鑑賞したので、その感想を書いていきたいと思います。

 

①主人公、ジョン・ナッシュの人生を通して描かれる、「統合失調症」。

いきなりネタバレしてしまいますが、この映画は完全に統合失調症に罹った人がどんな世界に住んでいるのかをしっかり映画という媒体を通して視聴者に訴えかける映画になっています。100人に1人が生涯罹患する可能性がある「統合失調症」。そのあまりに奇抜で、普通の健康な人には理解しがたい病気の性質を、この映画では見事にリアルに映像化していると思いました。天才数学者のジョン・ナッシュはその天才性ゆえに自分が国家の暗号解読員だと信じて行動していきます。物語は突然急展開。実はその国家機密に関わる暗号解読員であること自体が統合失調症の主な症状である”幻覚”であることにジョン・ナッシュ自身が気づくまで、多大な時間を懸けます。そう、この統合失調症は自分の見ている(聴いている)幻覚(幻聴)があまりにリアルすぎて、自分が幻覚、幻聴を見たり聞いたりしている事を完全に現実だと思い込んでしまうのです。やっと自分が目の前にいる国家機密員や、自分の学生時代の親友さえ、自分の脳が作り出した幻覚だと理解し、受け入れるのには長い自分の心との葛藤が必要になります。人間は今までの体験や記憶を総じて自分の人格を形作る大切な”思い出”となります。その自分の人格を主に形作っていた親友との語らいや一緒に行動した時間が、すべて幻覚だったとしたら・・・。そう、まずは「統合失調症」は、自分を疑う事から治療が始まるのです。

 

ジョン・ナッシュには、どんなときもそばにいる伴侶がいた。

ここで、ジョン・ナッシュには人生で一番の幸運がありました。どんなときにもそばについて支えてくれる伴侶の存在です。「統合失調症」は、その人の人生のすべてを闘病生活にしてしまう過酷な旅です。その旅に不可欠なのは、安心して信頼できる人間関係だと思います。その点、ジョン・ナッシュにはどんな時も愛し、見守ってくれる伴侶の存在がありました。物語の最後まで、この二人の永遠の愛は失われず、徐々にジョン・ナッシュを社会復帰できる様にまでなっていきます。物語の最後、ナッシュが論文にした理論がノーベル賞を受賞するシーンまで、この永遠の愛が導いていきます。この物語は実話です。世界中にいる「統合失調症」の罹患に苦しむ方々の苦悩と悲しみの理解を助けてくれる映画、そしてこの病気に罹っても決して希望を捨てずに生きていく勇気を与えてくれる映画だと思いました。100人に1人が罹患するといわれる「統合失調症」。という事は、学校の2クラスに1人は統合失調症の方がいる計算になります。その奇抜な症状のせいで、社会の偏見を恐れ、社会に病名を隠して生活する統合失調症患者は相当な人数にのぼると思います。この病に罹っても、一番病の治癒に大切な人との愛ある交流は欠かせないのです。そのためにも、「統合失調症」を正しく理解するために、この「ビューティフルマインド」を健康な方にこそ一度、鑑賞してほしいと思いました。

 

このブログでは、精神疾患等に罹った方が幸せに生きるヒントを書いています。これからもどうぞよろしくお願いします。