統合失調症のケアマネジャー

人生の大半をメンタルヘルスに費やしてきた男性の経験談

統合失調症の疲れやすさ~一生付き合う特性~

こんにちは。pepeneeです。今日は、統合失調症特有の”疲れやすさ”について、書いていきたいと思います。

 

統合失調症には、陽性症状と陰性症状があり、今回の”疲れやすさ”に関しては陰性症状に分類されるのですが、この”疲れやすさ”はなかなか侮れない厄介な症状です。もちろん、陽性症状(幻覚、幻聴等)が激しい統合失調症初期のころは、大声で叫んだり、本人しか聞こえない、見えないものが見えてしまうので、周囲の人からは、”気がくるっている””おかしな人”という印象を受ける為、統合失調症はこの陽性症状が特にクローズアップされがちです。しかし、その症状は、きちんと服薬してセルフコントロールが出来る事によって数年で改善に向かう事が多いです。そして、この時期を過ぎると、今度は、生きる意欲ややる気が失われてしまう陰性症状に苦しむことになります。この陰性症状、非常に厄介です。統合失調症の7~8割が就労できないのは、この陰性症状がその患者の人生の大半の時間症状が続くためかもしれません。統合失調症になれば、認知機能障害もあり、個人差はありますが、仕事を遂行する”効率の良さ””仕事の呑み込みの早さ””適度に手を抜く要領の良さ”など、健常の方がもっている当たり前の能力が失われています。そのため、仕事が出来ないレッテルが貼られやすいのです。そこに追い打ちをかけるようにちょっとした外的刺激によってものすごく疲れやすい特性を持っているのです。

 

もちろん、すこしづつ社会経験を積んでいけば、仕事の要領もつかめてきますし、自分がどのくらいの刺激で疲れるのかが把握できるようにはなります。しかし、一度統合失調症に罹ってしまうと、社会復帰のチャンスが極端になくなっていく社会的背景があります。”私は統合失調症です。働かせてください。”と告白して、雇用する会社は、ほぼ皆無なのが厳しい現状です。だから、一部の頑張り屋は統合失調症であることを隠して、(CLOSEと言います)就職するのが当たり前の社会状況になっています。当然雇用側は健常者と思って採用していますので、一般の就労者と同じ仕事量と生産性を求めてきます。ただでさえ”疲れやすい”特性を持つ統合失調症患者は、ハンデなしで、健常者と闘わなくては就労さえ出来ない訳です。統合失調症患者は、就労先の同僚との世間話でさえ”疲れてしまう”のです。特に、その場にいない特定の人の悪口、陰口には本当に弱く、このマイナスな会話に入るだけで心を痛め、疲れてしまいます。

 

一週間週5日フルタイムで働けば、統合失調症患者は、土日のどちらかを完全に丸一日睡眠に当てなくてはならないほど精神的、肉体的に追い詰められるのがほとんどです。そして、そのフルタイムが一年続けば良いほうで、そのきつい就労が一年くらい続くと相当の疲労の蓄積が重なり、いったん離職して、1~2か月仕事を離れ、疲れを癒す時間に当てる必要があるケースも多いです。(僕の場合も、長くてフルタイムは2年も続かない位でした。)ただ、社会では要領の良さは印象が悪くないですが、こと”疲れやすさ”は理解されにくく、単なる怠けや、怠惰にみられてしまう傾向があり、統合失調症患者の就労を妨げる大きな要因になっています。

 

統合失調症は100人に1人が罹る疾患と言われ、おそらく皆さんの周囲にも、カミングアウトしていないだけで疾患に罹っている方と接したり、見かけたりされているのは間違いがありません。少しづつでも、この統合失調症の病が正確に認知され、障害に優しい社会になれば、健常者の方々にとっても優しく、生きやすい世の中になると思います。

 

このブログでは、精神疾患等に罹った方が幸せに生きるヒントを書いています。これからもどうぞよろしくお願いします。