統合失調症のケアマネジャー

人生の大半をメンタルヘルスに費やしてきた男性の経験談

統合失調症を抱えながら起業のメンバーになる9。

こんにちは。pepeneeです。今日は、通常での生活でも疲れやすい統合失調症患者が全力で仕事をするとどうなるか、また、疲れやすく、仕事の段取りがお世辞にもあまりよくない(不器用)統合失調症患者が仕事をする工夫についても書いていきたいと思います。

 

まず、仕事の働き方、仕事に対しての心構えを4つに分けて、そのスタイルのメリットデメリットについて書いていきたいと思います。統合失調症ではない方、精神疾患等に罹っている方、また、普通のサラリーマンにも参考になる部分があると思います。

 

その①仕事に命を懸ける。

始めのころ、統合失調症を抱えながら、闘病生活をしていた僕は、約4年間無職の状態がありました。その反動か、介護福祉士の学校へ通った僕は猛烈に勉学に励みました。その中で尊敬できる専門学校の先生が、ある時このように仰いました。”自分の気持ちは相手に必ず伝わるよ。いい思いも悪い思いも。だから、利用者さんに対してどんな思いを持って接するかが大事。自分の気持ちは100%相手に伝わる。ごまかせないんだよ。”こういわれました。当時30代前半だった僕は当然自分の為に生きる事が当たり前で、言葉では利用者様を第一に考えてケアを行おう、と授業では何度も繰り返し言われていた内容でしたが、実際に専門学校を卒業して高齢者デイサービスに就職した僕は、この言葉に何度も救われることになりました。自分の事を考えてケアにあたるときと、利用者様のことを本気で真剣に向き合い、利用者様が何を本当に求めているのか、利用者様のために自分が出来る最大のことは何なのか・・・その二つの心持ちの差は雲泥の差になって帰ってきます。前者の心持では、利用者様の信頼関係は築かれませんし、利用者様からは、”あ、この人には何を言ってもわかってもらえない”と感じられてしまいます。結果、利用者様は自分を信じていただけなくなります。一方、後者では”私のことを真剣に考えてくれているんだな、ありがたい。””この人なら、信頼関係を築ける。”そう思っていただける事は間違いありません。ただ、この利用者様に対して命を懸けるというスタンスは、どうしても極度にストレス、疲労が溜まりやすく、僕はこの信念を貫く働き方は長くても1年間が限度でした。利用者様との温かい信頼関係と良好な温かい交流と引き換えに、自分の魂と精神力をすり減らす働き方でした。

 

その②今できる最善の行動を心がける。

心理、情緒面で利用者様を第一に考える事に比べて、少し働き方に心の余裕が出来るのが利用者様がいる時だけ利用者様のことを真剣に考えて行動する働き方を実行するようになりました。この考え方に行きついたのは、三つ目に勤務した認知症グループホームの職員の時代に、月4~5回16時間の夜勤勤務がある職場で働いた経験からです。この長丁場で利用者様に思いやりを持ちながら日々の業務にあたるためには、毎日全力で命を懸けていては自分がもたないし、なにより仕事の業務が回っていかないことに気づいたためです。例えば、夜勤の10時ごろ、翌朝の薬をピルケースに仕分けしている時に利用者様のナースコールがなります。額に手を当てると熱がありそうです。体温計で測ると38.5度。その時に他の部屋のナースコールがなります。その部屋に行くとトイレに行きたくて体を支えてほしい状態でした。こういった立て続けに優先度の高いタスクが山積みになるケースは施設系のお仕事ではよくあります。この場合、命を懸けて親身に接するスタンスはあまり効果がありません。まず、タスクに優先順位をつけます。一番の優先順位は発熱した利用者様の体を冷やすケア(クーリング)とともに、ドクターに連絡をし、翌朝、グループホームに訪問診療していただく予約を入れる必要性です。しかし、緊急度としては、今、目の前のトイレに行きたい利用者様のトイレ介助が一番の緊急度です。よって、今できる最善の行動を考えれば、①体を支える必要性のある利用者様のトイレ介助。②発熱の合った利用者様の頭、両脇、鼠径部(足の付け根)の5点を保冷材で冷却。③発熱のあった利用者様の状態を正確に本部のドクターに電話連絡し、翌朝の訪問診療の予約。④以上の事実を介護記録の経過記録として記載。⑤翌朝の服薬のための薬の仕分けに戻る。と、以上になる訳です。この働き方のスタンスでは目の前に怒る出来事を一つ一つ分解し、タスクの重要度と緊急度を考え、優先順位を的確につけていきます。そして、今できる最善の方法で、実行していく考え方です。仕事術に近いでしょうか。この考え方で働くと、力の抜きどころや、どこに労力を集中すべきかが、経験に応じてわかってくるところが良いところです。また、判断力や洞察力も磨かれるので、仕事に対する誇りを持ちたい人やプロ志向の人に向いている考え方です。しかし、それでも心身にかかるストレスや疲労は強い負荷がかかります。

 

その③セーフティベースの原則を念頭において接する。

上記の働き方は対高齢者でのものでした。そこで編み出された仕事の取り組み方は、児童福祉にも十分当てはまるものです。子供と生活をする、遊ぶことが仕事の児童福祉の仕事でもなかなか気が抜けない場面が多々あります。ただ、児童が対象になる場合は、こちらの考えている事が鏡のように跳ね返ってくるような即効性があり、児童と接している時は自分の心持ちに注意を払うと同時に、児童の行動にも目を配り、安全性や他の児童とのトラブルにならないよう目を光らせておく必要性があります。

さて、すこし復習しますね。

セーフティベースの原則。

①その子のすべてを受け止める。

②問題解決思考をする。

③その子の心の安全基地を確保し、安心感を高める。

④その子の主体性を伸ばす。

⑤ダメな事はダメと叱る。

④と⑤は矛盾するようですが、自分を傷つけたり、他人に危害を加える恐れがある場合は必ず叱るようにします。経験とともに、本人のやりたいことを自由にさせてあげる場面と、ダメな事を叱るポイントがつかめてくるようになります。

このセーフティベースの原則を頭に意識しながら働く働き方をすると、児童は生き生きと自分らしく本来のその子らしさをのびのびと発揮して楽しく遊ばせることが出来る事でしょう。また、常に原則に沿った行動をし、児童への熱量が高くなるため、とても児童から好かれ、人気者になることが出来ます。ただ、難点は、やはり体力がもたなくなったり、気が休まる時間がないのでストレスや疲労が溜まりやすくなってしまいます。

 

その④周囲の人と歩幅を合わせて頑張らない。

最後の働き方です。今までの働き方が自分の心構えに関するものだったのに対し、この働き方は他の職員にも協力してもらい、自分にできる事だけを自分のペースで行う、無理をしない、頑張りすぎない働き方です。肩の力を抜いて仕事をするので、リラックスして働くことが周囲に雰囲気として伝わり、周囲もリラックスして無理せず働くことが出来ます。ただ、唯一利用者様、児童中心主義ではないため、施設や組織風土としては、”BEST"ではなく、”それなり”の職場になりがちです。また、一度楽してしまうと、いかに楽して仕事をするかを考える癖がついてしまうこともあります。(それがすべていけない事ではありません。仕事の効率化はたいせつです。)あまりに疲れている日は、頑張らない、周囲の流れに身を任せて働く日があってもいいのかもしれません。この働き方だけは例外的なもので、心身のストレス、疲労もかなり軽減される働き方です。

 

このぶろぐでは精神疾患等に罹った方が、幸せに生きるヒントを書いています。今後ともどうぞよろしくお願いします。