統合失調症のケアマネジャー

人生の大半をメンタルヘルスに費やしてきた男性の経験談

発達障害と児童虐待によるよく似た発達障害4。

こんにちは。pepeneeです。今日は、いよいよこのテーマの本題、発達障害と、児童虐待によって脳機能が著しく低下して、発達障害のような症状を呈している状態についてお話ししたいと思います。

 

発達障害の定義は、集団行動、協調性がなく、またLDなどの学習障害を含み、衝動的に行動したり、落ち着きがなくまたはぼーっとしていて不注意であるなどといった特徴を持ちます。自分の世界に閉じこもっており人との関わりに喜びが持てず、ずっと何かにこだわっており、外部の世界と距離を置いているケース(ASD寄り)などもあてはまります。(今回はわかりやすくするために、言語的能力が一般的に高いとされるアスペルガー症候群は対象から外します。)

 

児童虐待を受けている児童は、まさしく上記のような特徴をほぼ持ち合わせているケースが多々あります。児童虐待は家庭という密室で行われるため、児童は親の愛情を受ける為ならどんな理不尽な事でも応じてしまう傾向が出てきます。親が気まぐれに愛情を与えたり、また、理由もないのに罵声を浴びせたり、殴る蹴るなどの暴行を加えられると児童は混乱し、どういうパターンで行動したら親から愛されるのか、自己の安全の為に何をしたら親から受け入れられるのか、過酷な環境でサバイブします。一つ目の生存戦略は、特定の”親”という存在に無条件に受け入れられる体験に乏しいので、見ず知らずの人にすぐなつく、という広く浅く愛されようとする行動に出ます。この行動が、衝動的に行動している様に思われたり落ち着きがない子とみられる理由です。また、特定の人間”親”から安定した愛情を得られないばかりか、愛情を求めようとすると殴る蹴るなどの暴力に発展する、と先回りして間違った学習行動を学んでしまった子は、なかなか他者と心を通わすことが出来ず、甘えたい気持ちを自分で押し殺してどんな他者とも親密になること自体を(暴力を振るわれるより孤独の方がマシと思い)拒否したりする傾向にあります。それが、自分の世界に閉じこもっており、人との関わりに喜びが持てないASDのような傾向に他者からはみられる理由です。自分の身を守るために外界と距離を置くケースです。また、落ち着きがなく、ぼーっとしているなどの症状も出ます。これはなぜかといいますと、脳が、いつもいつもどんなパターンで罵声や殴る蹴る等の理不尽な目に合うのか解らないため心の安全基地が働いていないので家庭で安らぐ場所と時間がなく、不安から落ち着きが無かったり、以前紹介した乖離が脳内で起こり、脳が愛されず、虐待を受ける現実から非現実に意識をトリップさせ、脳と精神に異常をきたさない様に現実を見ない様に仕向けているのです。

 

そして、この児童虐待によるよく似た発達障害の様な症状は、真正の発達障害となかなか見分けがつかないのです。このケースの場合、年齢の割に身長や体重が平均より未発達で低かったり少なかったりするケースも見られ、また、心の安全基地となるべき家庭がサバイバル状態の為、LDのような症状も呈しているケースもよくあります。年齢よりずっと遅く言葉を発する、や、学習の習得速度が著しく遅い、といったケースも見受けられます。また、放デイなどで、やっと心の安全基地になってくれそうな人に出会っても、今までの家庭で植え付けられた愛情と暴力の理不尽性から心許せる環境になった時、今までの理不尽が心から噴出してきて、暴れたり、他害、自傷に走ったりするケースもあります。

 

児童虐待によるよく似た発達障害の場合は、家庭とは別に放デイや学校に心の安全基地を確保するとともに、最悪の場合は、児童相談所と連携し、発達障害の原因になっている児童虐待の環境温床である家庭から一時避難して、児童養護施設に入居することも考慮に入れたほうが良い場合も実際にあります。なぜなら、児童虐待がない環境に緊急避難しないと、児童虐待された児童の脳は発達どころか、脳委縮をおこし、どんどん不利な状態を引き起こし、健常児の発達とは、大きく隔たりが出来てしまうからです。

 

もし、上手に虐待家庭から児童を引き離し、施設に生活拠点を移し、他の場所で心の安全基地を得ることに成功できた場合、適切な食事、清潔な住居環境、安心できる睡眠環境と合わせて、虐待が原因で発達が遅れていた児童は、ものすごい勢いで発達を取り戻すケースも多々あります。

 

詳しくは、『こども虐待という第四の発達障害杉山登志郎著 をご参照ください。そして、我々には児童虐待が見受けられる可能性を見たり聞いたりした場合、行政に通報義務があります。どうかこういったケースに接した場合は適切なご判断をよろしくお願いします。

 

このブログでは精神疾患等に罹った方が幸せに生きるヒントを書いています。これからもどうぞよろしくお願いします。