統合失調症のケアマネジャー

人生の大半をメンタルヘルスに費やしてきた男性の経験談

新海 誠監督、天気の子を鑑賞して。

こんにちは。pepeneeです。今日は新海誠監督の最新アニメーション映画、『天気の子』を鑑賞したので、感想を書いてみたいと思います。

 

新海誠ワールドらしい美しい背景描写と魅力的な登場人物。

『君の名は』に続く新海監督の世界観は今作『天気の子』にも引き継がれており、一つ一つの背景描写、雨、空など”そういえば、当たり前にみていた世界は、こんな極上に美しい姿を垣間見せる事があるね”、と説得力ある現実から放たれる美を描いています。そして、相変わらず見るものを強烈に引き付ける登場人物のまっすぐな想いを内に秘めた魅力的な表情と行動力。弱さも脆さも内に秘め、でも自分の中の湧き上がる情熱に突き動かされる行動力は、”あの日の青春”を彷彿とさせて、懐かしさと共感を心の中に湧き上がらせてくれます。

 

②この世界と空の上に続く宇宙を繋ぐ存在。

作中に出てくるヒロインは、不思議な力を秘めています。その希少性から、多くの人々を歓ばせますが、物語は一変、世界の危機の様な様相を呈してきます。アニメーション独特のファンタジーですが、日本の神道、また八百万の神々や、等価交換を意味する概念も存在しており、ファンタジーながら、見るものを納得させながら物語に引き込んでいく手法も素晴らしいと思いました。

 

③もし、あなたがこの世界を救うことが出来、救うために自分の命を差し出す必要があったなら。

作品の中で、世界を救うヒロインの描写がなされています。もし、自分にこの世界を救う力があり、そのためには、自分の命を差し出す必要があったなら、僕ならどうするだろう。そんな問いかけをされている気がしました。すぐに”僕なら命を懸けるよ!”と答える事の出来る純粋さを、自分はもう持っていないー。そんな気持ちにさせられました。あなたなら、この設定でヒロインの立場なら、どうしますか?そして、そのそばには大好きな大好きな大切な人があなたを心配しているという設定です。

 

④世界の人々の営みと、主人公とヒロインの愛。

この作品では、物語の前半、今の日本の問題点がこれでもかとたくさん描かれます。児童の貧困、都市部での歓楽街の夜の世界、生きていくために食つなぐだけで精いっぱいの主人公。ヒロインが生活の為に手を染めそうになった危険な性と金銭。この物語は、この世界の理不尽さと人々の営みの狂い、とてもではないが綺麗とはいいがたい世界を救うだけの価値はあるのか。そして、ヒロインの献身と、主人公のまっすぐなヒロインへの純情ー。はたして、どちらに価値があるのかー。それを問われている作品なのではないか。そんな風に受け取りました。

 

⑤殺伐とした世界の営みではなく、身近な愛する人になら、命を懸けられる。

物語の終盤、主人公とヒロインは選択をします。それにより、世界はどうなり、そして主人公とヒロインはどうなるのか、それは映画館でぜひ確かめていただきたいのですが、つまり、殺伐としたこの世界に救うだけの価値がありますか?むしろ、主人公とヒロインの献身と純情こそ、守るべきものではないだろうか。この作品のラストは、人それぞれ感じ方が違うようなエンディングが待っています。そこには、純粋に自分の命を懸けるものは、身近な愛する人に繋がっているなら、懸けられるー。そんな気持ちを抱かせる映画でした。

 

このブログでは、精神疾患等に罹った方が幸せに生きるヒントを書いています。今後ともどうぞよろしくお願いします。