統合失調症のケアマネジャー

人生の大半をメンタルヘルスに費やしてきた男性の経験談

古典への回帰。

こんにちは。pepeneeです。今日は、過去の日本の文学、教養作品に触れる意味について書いていきたいと思います。

 

柴田錬三郎 著 「大将」

第二次大戦後に書かれた実在する人物を元にした事業家サクセスストーリー。主人公の野呂内大太郎が、その人間味あふれる魅力で様々な人々を魅了し、ついには日本一の温泉街を作り上げる物語。その野呂内大太郎の生きざまは、僕たちの息が詰まりそうな現代には存在しないおおらかさと懐の深さを持っています。しかし、それだけではなく仁義の筋を通す男らしさを持っており、まさしく人間とは、どのようにあれば良いのかを描き切っています。現代では、あまりに人と人の関係がギスギスしてしまっており、過去の書かれた小説作品を見ると、”昔は人と人が普通に信頼し合っていたんだな”と昔の日本の良さを再認識させられます。もちろん、男尊女卑的な社会の因習もまだまだがちがちに残っており、亭主を妻が内需の候で支えることなど、現代ではもうありえないシーンもありますが、主人公野呂内大太郎の妻の愛し方。(大太郎は、妻しか抱くことが無い。つまり浮気をしない。)自分自身を律する力。(一度決めたら最後までやり抜く意志の強さ。例えば、たばこをやめると決めたなら、生涯たばこを吸わないなど。)他者の良いところだけを見て、一度信頼したら信じぬく度量の広さ。(大太郎が映画館主の時、大切なフィルムを盗まれ、その強盗犯を許すどころか、金の受け渡しのやり取りの時に指定した時間を守る律儀な面を見出し、のちにその強盗犯が金を返す時、自分の事業の従業員にしてしまう懐の深さ。)大義の為になら徹底的に戦ってでも事を成し遂げる粘り強さ。(戦後、徴兵から帰ってきた大太郎は、焼け野原の日本に必要なのは娯楽と考え、東京の役所の許可をもらうため、何か月も役所に通い詰める。また、物語の後半で温泉の湯を送るパイプを設置するとき、反対勢力を押し切って強引に設置する。)時には、人生をかけて、大勝負に出る度胸。(温泉の湯口をボーリングで掘削するのだが、事前に地質学者と綿密に調査するが、温泉の湯が出るかどうかは確実ではない。その時、大太郎はすべてを無駄にするリスクを背負って温泉湯口を掘削し、見事湯口を掘り当てる。)等々、すべての行動や振る舞い、そして、人間としての魅力が小説のあちこちにちりばめられており、大人物とは、こういった人を言うのかーと感心し、現代の人物像ではあまり見受けられないその尊敬に値する豪傑ぶりに僕も久々に感激しました。

 

②過去の書物に触れる価値。

その他、現在読書中の渋沢栄一 著 「論語と算盤」など、挙げればきりがないのですが、過去の作品だからと言って、現在に通用しないーではなく、逆に現代の問題点を先回りして過去の作品の中で解決したような記述も多く、読んでいて大変勉強になります。例えば、「論語と算盤」では、人間の欲望をエンジンとする資本主義経済の本質を著者、渋沢栄一は早くに見抜いており、その資本主義経済を否定することなく、その資本主義の営みと、孔子の中国古来から続く”論語”の教えをミックスすることで資本主義と道徳を両立する考え方を示しました。まだ最後まで読めていないので、これ以上は書けないのですが、昔の人々は深い思索と行動力があったのだな・・・と感心してしまいます。現代では、この論語、立ち居振る舞いや誠実である事、家族を大切に思う優しさなどの心の規範の部分が乱れがちになっていると思うのですが、渋沢栄一は資本主義経済とこの論語の精神は両立できることを説いています。堀江貴文さんや、千田琢哉さん、また西村博之さんなど、現代の最先端を情報発信している人々の最新の情報をチェックしつつ、このような過去の日本人の遺産である昔の書物も目を通す必要性があると断言できます。そこには、現代のグローバルスタンダードのなかで保身にばかり走る個人、企業体によって正規、非正規などの歪みに歪み切った日本体制を正常に戻すためのヒントが隠されているように感じました。働き方改革でさらに複雑化する経営の歪み、2020年4月から行われる同一労働同一賃金が社会の歪みを是正するのか。また、上記で述べた野呂内大太郎のような誠実で豪快な人間性を持った人物こそ社会の歪みを正すのか。混乱を極める現代社会の中で、常に思考を最新にアップデートし、なおかつ古典から古き良き本質を学ぶことで、未来への正しい一歩を踏み出すことが出来るーそう考えています。

 

このブログでは、精神疾患等に罹った方が幸せに生きるヒントを書いています。これからもどうぞよろしくお願いします。